少し前まで通信速度は「100Mbps」が普通の環境だったのに、いまでは「10Gbps」があたりまえの世の中になってきました。
通信速度の高速化にあわせて、自分でPCなどのデバイス設定を変更しないと、通信速度が頭打ちになって損することが多々あります。
そこで本記事では、UGREEN NASの通信速度高速化を目的とした「ジャンボフレームサイズの設定」について、詳しく解説しています。

特にSSDでNASを構築している方は、必見です!!
図をたくさん使用して説明していますので、初めての方でもわかりやすいかと思います。
それでは一緒にやっていきましょう!
設定後の速度結果
ジャンボフレームを有効にした場合、性能が大幅に向上した!!
通信速度:約1.3倍以上
HDD読み書き速度:約1.5倍〜2倍以上
MTU:4,000・9,000・16,000の中で、9,000が一番安定した

これほど効果があると思っていませんでした!ぜひジャンボフレーム設定してみて、通信速度を計測してみてください。
iPerfの測定結果
ジャンボフレームのサイズを変更して、通信速度を測定した結果となります。


ジャンボフレームの効果テキメンです。
CrystalBenchMarkでの測定結果
念の為、HDDの読み書きに対して効果があるか検証しました。
グラフは、ジャンボフレーム(MTU)サイズ別のデータ転送量となります。
読み込み性能




書き込み性能





私の環境では、ジャンボフレームは「16,000 bytes」より「9,000 bytes」の方が安定していました。今後は「9,000 bytes」で運用していきたいと思います!
今回の測定環境は、以下のとおりです。参考にしてみてください。
測定環境
通信経路:
PC - NAS(有線10Gbps)
ネットワークカード:BUFFALO LGY-PCIE-MG2
NAS:UGREEN NASync 6800Pro
ジャンボフレームサイズ:
4,088 / 9,014 / 16,348 [bytes]
測定ツール「iPerf」の使い方をまとめています。興味のある方は、以下の記事を参考にしてください。
ジャンボフレームとは?

しかし、MTUを増やせば良くなるとは限りません。通信環境によっては悪化することもありますので、注意事項をよく読んでから進んでください。

MTUの設定値について
MTUデータの内訳は、一般的に以下のようになっています。

設定するMTUのサイズですが、ネットワークカードによって異なります。仕様書を必ず確認するようにお願いします。
BUFFALO LGY-PCIE-MG2の例

つまり、表記サイズからヘッダーの「14 bytes」を差し引いた値が、設定するMTUとなります。
2,040 Bytes - 14 Bytes = 2,026 Bytes
4,088 Bytes - 14 Bytes = 4,074 Bytes
9,014 Bytes - 14 Bytes = 9,000 Bytes
16,348 Bytes - 14 Bytes = 16,334 Bytes

う~ん…。ややこしい…。仕様書に「この値を設定してください」と明記して欲しいところです。
MTU設定を正確に入力したい方は、参考にして頂ければと思います。
※NASアプリ上で細かい設定ができないため、本記事ではキリの良い値で評価しています。
ジャンボフレーム(MTU)の設定
ジャンボフレームを適用するためには、ネットワークの通り道すべてにジャンボフレーム設定を適用しなければいけません。

機器が対応していても、デフォルトでは設定オフになっています。眠りから呼び起こす必要があります。
一つずつ見ていきましょう!!
PCの設定
本記事では、「BUFFALO LGY-PCIE-MG2」を例に設定していきます。
使用しているネットワークアダプタによって少し名前が異なることがありますが、設定方法自体は大差ないので、参考になるかと思います。
- 1デバイスマネージャーにアクセスする
どちらか好きな方法で、デバイスマネージャーを起動します。
スタートメニューから起動する方法
ファイル名を指定して実行から起動する方法
「devmgmt.msc」を入力してください。
- 2ネットワークアダプタをダブルクリックする
- 3詳細設定タブの「Jumbo Packet」の値を変更する
図のように値を変更後、OKをクリックして設定を保存してください。
※製品によって「ジャンボフレーム」「ジャンボパケット」だったり名称が異なります。まずは「9,000 bytes」をオススメします。ジャンボフレーム対応製品の大半は「9,000 bytes」を標準サイズとして採用しているため、トラブルが発生しにい傾向があります。
PCの設定は、以上となります。
ルーターの設定
メーカーによって設定方法が異なりますので、公式サイトで設定方法の確認をお願いします。
メーカー | 手順 |
---|---|
Buffalo | ① ルーター設定画面にアクセスする。 ②[詳細設定]-[ネットワーク]に移動する。 ③「IPアドレス」の横にある設定アイコンをクリックする。 ④ Jumbo Frameを使用するLAN端子をクリックする。 ⑤「イーサネットフレームサイズ」を選択し、OKをクリックする。 |
Aterm | ① ルーター設定画面にアクセスする。 ②「詳細設定」-「その他の設定」-[インタフェース設定]-「LAN側ジャンボフレーム透過機能」で設定する。 |
TP-LINK | ① ルーター設定画面にアクセスする。 ②「詳細設定」-「ネットワーク」-「インターネットの詳細設定タブ」を開く。 ③ MTUサイズを変更し、保存します。 |
ASUS | ① ルーター設定画面にアクセスする。 ②「LAN」-「Switch Control (スイッチ制御)」を開く。 ③ MTUサイズを変更し、保存します。 |
ルーターの設定画面は、本製品のIPアドレス(192.168.0.1など)をブラウザーのアドレスバーに入力すると表示できます。IPアドレスがわからない方は、以下の方法で調べられます。
- 1コマンドプロンプトを起動する
「ファイル名を指定して実行」からコマンドプロンプトを起動してください。
図のように、スタートメニューからも起動できます。
- 2デフォルトゲートウェイのIPアドレスを調べる
以下のコードをコピーしてください。
ipconfig
コマンドプロンプトに貼り付けて、コードを実行します。
デフォルトゲートウェイのIPアドレスが表示されます。
これがルーターのIPアドレスとなります。

私が持っているルーターは、ジャンボフレーム非対応なため、設定手順を用意できませんでした…。
UGREEN NASの設定
UGREEN NASのMTU設定は、「アプリ」と「SSH」の2パターンで変更できます。
順番に解説していきます。
アプリで設定する場合
- 1UGREEN NASアプリにログインする
- 2コントロールパネルから「LANポート」の編集画面に移動する
- 3画面下の「MTU値」を変更する
MTU値は「1100~9000」を選択できます。
設定したいMTU値を選択後、適用をクリックしてください。
※本記事では、一般的な「9000」を選択しています。設定したい値がない場合は、SSHで手動設定できます。方法を知りたい方は、こちらをクリックしてください。
- 4設定完了!!
NASアプリでのMTU値の変更方法は、以上となります。
SSHで設定する場合
NASへSSH接続する方法は色々ありますが、本記事では「コマンドプロンプト」で接続する方法を解説します。
SSHで設定が必要な方は、以下のとおりです。
アプリの選択肢以外のMTU値を設定したい方
ブリッジ接続している方
ボンド接続(リンクアグリゲーション)している方

なぜかブリッジ&ボンド接続の際、アプリでMTU値を変更できません…。UGREENの弱いところですね…。アップデートを強く希望します!!
- 1UGREEN NASアプリにログインする
- 2コントロールパネルから「SSH機能」をONにする
これで、別の端末から「SSH接続」ができるようになります。
- 3コマンドプロンプトを起動する
「ファイル名を指定して実行」からコマンドプロンプトを起動してください。
図のように、スタートメニューからも起動できます。
- 4SSHにアクセスする
下のコードをコピーします。
ssh user@192.168.XXX.XXX -p 22
コマンドプロンプトに貼り付けて、コードを以下の内容に修正します。その後Enterで実行します。
user → NASのログインユーザー
192.168.XXX.XXX → NASのIPアドレス - 5パスワードを入力し、SSHにログインする
初回接続時は、以下の画面が表示されます。
「本当に接続しても大丈夫ですか?」という内容です。問題ありませんので、「yes」を入力してEnterを押してください。
パスワードを要求されるので、NASのパスワードを入力後にEnterを押しください。
正常にSSHにログインできると、以下のよう「Debian GNU/Linux~」と表示されます。
- 6現在のMTU値を確認する
以下のコードをコピーします。
sudo ip a | grep mtu
コマンドプロンプトにコードを貼付け後、Enterを押します。
パスワードを求められるので、NASのパスワードを入力後にEnterを押します。
初期状態では、以下の様に表示されると思います。
図のように、表記とポートは以下のように対応しています。
「mtu 1500」と記載があるので、現在のMTU値は「1,500 bytes」ということがわかります。
- 7MTU値を変更する
以下のコードをコピーしてください。
ブリッジモード(MTU=9,000 bytes)の場合
sudo ifconfig eth0 mtu 9000 up ;\ sudo ifconfig eth1 mtu 9000 up ;\ sudo ifconfig bridge0 mtu 9000 up
ボンドモード(MTU=9,000 bytes)の場合
sudo ifconfig eth0 mtu 9000 up ;\ sudo ifconfig eth1 mtu 9000 up ;\ sudo ifconfig bond0 mtu 9000 up
MTUは環境にあわせて調整してください
コマンドプロンプトにコードを貼付け後、Enterを押します。
結果は何も表示されませんが、MTU値が変更されます。
- 8再度MTU値を確認する
以下のコードをコピーします。
sudo ip a | grep mtu
コマンドプロンプトにコードを貼付け後、Enterを押します。
MTU値が変更されていることを確認してください。
NASのMTU値の変更方法は、以上となります。
あとは「iPerf」などで、通信速度を確認してください。測定ツール「iPerf」の使い方はこちらの記事にまとめていますので、参考にしてください。
まとめ
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
ジャンボフレームに対応している機器を使用している方は、ぜひこれを機会に設定してみてください。

通信速度を改善するの、やみつきになります!!
ウリィィィィィィィィィィッ!!
不明な点がございましたら、気軽にお問合せフォームよりご連絡をお願いします。できる限りサポートさせて頂きます。
それではまた会いましょう!

コメント