UGREEN NASに好きなソフトを入れてカスタマイズしたいと思ったことはないでしょうか?
でも、UGREEN NASには「UGOS」というOSが搭載されており、好きなソフトをインストールしようとすると、ブロックされてインストールできない仕組みになっています。
エラー画面の例


これはUGREENだけじゃなく「他社も同じ」です。好き放題されて壊されたあげく、クレームされたら困りますからね…。
とはいえ、人は「自由」を手に入れたい生き物。
どうしても「Linuxの好きなソフトを入れたい!」って方は多いはず。
本記事では、そういった方に向けて違うOSをインストールして好きなソフトを入れる方法を解説しています。
パソコン操作に慣れていない方にとっては少し難易度が高いですが、図をたくさん使用して説明していますので、初めての方でもわかりやすいかと思います。
それでは一緒にやっていきましょう!
注意事項

この内容は肝に銘じておくようにお願いします
用意するもの
違うOSをインストールするのに必要なものは、以下のとおりです。

PC
UGREEN NAS DXPシリーズ
※DHシリーズは「BIOS」に入れないため不可。
USBキーボード
HDMI接続できるモニターやテレビ
OSインストーラー用ストレージ(4GB以上推奨)
SDカードやUSBメモリー
OSインストール先ストレージ(32GB以上推奨)
NAS用M.2 SSDが高速・高耐久なのでおすすめ

本記事では簡易的にNASを構築しているので、OSのインストール先ストレージは「USBメモリー」で代用しています。
NAS OS比較表
NAS用のOSは、無料のものから有料のものまで幅広く流通しています。
その中でも有名なOSをご紹介します。
| 機能/項目 | OpenMediaVault(OMV) | TrueNAS Community | Unraid |
|---|---|---|---|
| 基盤OS | Linux (Debianベース) | Linux (Debianベース) | Linux (Slackwareベース) |
| 金額 (参考) | 無料 | 無料 | $49 (6ドライブ制限/1年間アップデート無料) $109 (ドライブ無制限/1年間アップデート無料) $249 (ドライブ無制限/生涯アップデート無料) |
| ストレージ管理 | 伝統的なRAID、MergerFS | ZFS | パリティドライブ |
| Docker/コンテナ | 対応 | 対応 | 対応 |
| HDDの回転 | 常時回転 | 常時回転 | アイドル時に停止可能 |
| 最低CPU要件 | x86-64bit or ARM互換プロセッサ | 2コア Intel 64bit or AMD x86/64 | x86-64bit互換プロセッサ |
| 最低RAM要件 | 最小:1GB 推奨:2GB以上 | 最小:8 GB 推奨:16 GB | 最小:8 GB 推奨:16 GB |
| OSインストール先 | 4 GiB以上の専用ドライブ (HDD/SSD/USB) | 16 GiB SSD/HDD (専用ドライブ) | 専用USBメモリ (OSはこのメモリから起動・実行) |
| 導入の難易度 | 中級者向け | 上級者向け | 初心者~中級者向け |

個人で使う分には無料OSで十分です!
私は軽量OSが好きなので「OMV」を選択しています。
ぜひ好みのOSをお試しください。
違うOSのインストール方法
わかりやすくするために、手順のフローチャートを図にしました。

この手順に沿って、OSのインストールを進めていきます。
OSのインストールは「OMV」で解説していますが、他のOSもインストール方法も基本的には同じです。
OSをUSBメモリに書き込む

- 1OSの公式ページにアクセスする
以下から各OS公式ページにアクセスしてください。
- 2OSファイルをダウンロードする
トップページからダウンロードできます。


あやしいページに飛ばされますが、放っておくとダウンロードが開始されますので、安心してください。
ダウンロード後は、一旦何もせずに置いておきます。
- 3「Rufus」の公式ページにアクセスする
ダウンロードをクリックして、ソフトをダウンロードします。


4種類のうち、インストール不要なポータブルタイプがオススメです。
ダウンロードフォルダにアクセスします。

- 4USBメディアをPCに差し込む


SDカードや外付けUSBドライブでも問題ありません。
- 5Rufusを起動してブータブルメディアを作成する
先程ダウンロードした「Rufus」をダブルクリックして、ソフトを起動します。

接続したUSBメディアを選択後、ダウンロードしたOSファイルを選択します。

他のオプションはさわらずに、そのままスタートを押してください。警告が表示されますが、無視して進んでください。

書き込むモードは初期設定の「ISOイメージモード」のままで問題ないので、そのまま進めてください。
⑩の警告ははいを選択して、対応するGrubインストールファイルをダウンロードしてください。

警告がでますが、はいを押して対応するSyslinuxをダウンロードしてください。

メディアへの書き込みが始まりますので、しばらく待ちます。
書き込み完了後は「準備完了」と表示されるので、閉じるを押してソフトを終了してください。

約1分30秒で書き込みが完了します。
- 6USBメディアをPCから取り外す

OSをUSBメモリに書き込む手順は、以上となります。
NASのBIOS設定

UGREEN NASの場合はBIOSの設定を変更しないと、NAS起動時にUSBデータを読み込んでくれません。
また、「Watchdog timer」というタイマーが設定されており、通常起動以外の画面で「180秒」以上経過すると、強制再起動される仕様になっています。
そのため、しっかりと設定を変更していく必要があります。
- 1NASのUSBにキーボードを接続する

- 2HDMIとモニターを接続する

- 3NASを再起動する
NASの近くにいると思うので、直接電源ボタンから再起動(電源オフ→起動)します。


もちろんアプリから再起動しても、問題ございません。
- 4BIOSを起動する
NAS起動と同時に、Ctrl +F2 or Ctrl +F12 を連打します。
※数秒しか受付時間がないため、NAS起動後すぐに連打してください。
以下の画面になれば成功です。

- 5「Watch Dog Control」の設定を無効にする
「Watch dog Timer:180秒」に初期設定されているため、設定を「オフ」にします。
操作方法
← ↑ → ↓:移動
Enter:次へ進む/決定「Watch Dog Control」を「Disabled」に変更します。

- 6BIOSの設定を保存する
「Watchdog timer」の設定を保存するために、BIOSを再起動します。
図のように、2種類の方法で保存できます。お好みの方法を選択してください。

すぐに再起動が始まるので、Ctrl +F2 or Ctrl +F12を連打して、再度BIOS画面に入ってください。

- 7【重要】UGOSのSSDを無効化にする
「Boot」→「M2-KEYM3 Boot Option」に移動してEnterを押します。
「Disabled」を選択してEnterを押します。
「Disabled」になっていればOKです。

これでUGOSが入ったSSDが読み込まれなくなります。
- 8OS入りのUSBメディアをNASに差す
先程「Rufus」で書き込んだUSBメディアをNASに差し込みます。


USBの差す場所はどこでも良いです!
OSインストール用の外付けUSBストレージを差していない場合は、このタイミングでUSBを差してください。

- 9BIOSを保存する

再度BIOSを保存すると、自動的に再起動が始まります。
BIOSの設定は以上です。
OSインストール(OMV)

ここからはOSによって設定方法が異なります。本記事では「OpenMediaVault」で解説を進めていきます。
- 1OSの言語を選択する
NAS起動後、OS画面が表示されます。
言語選択で「日本語」を選択してください。
国とキーボードも「日本語」を選択します。

ロード画面に移行するので、しばらく待ちます。

- 2ネットワークを設定する
ホームネットワークに接続しておく必要がありますので、「LANケーブルが差さっているポート」を選択してください。

DXP6800の場合、LAN1の方が若い番号と逆になっているので、注意してください。


ポートが2つ以上のモデルの場合、間違っていても差し替えれば問題ありません。
ホスト名とドメイン名を設定します。
初期設定の問題ないので、このままEnterで進めてください。
- 3SSH用の管理者ログインパスワードを設定する
パスワード設定後、確認用のパスワードを再度入力して進めてください。

SSHだけじゃなく、NASへキーボードで接続してCLI(コマンドライン)で直接操作するときも、このパスワードを使用します。緊急時の復旧などに使用しますので、忘れないようにしてください。
- 4ディスクをフォーマットする
OSをインストールするストレージをフォーマットします。

インストールが始まりますので、しばらく待ちます。

システムの時刻を設定します。特に理由がない場合は「はい」を選択してください。

- 5OSインストーラー用ストレージを抜いて再起動する
ストレージを抜いてから「続ける」を選択してください。

プロセスが進んで自動的に再起動が始まります。

- 6起動画面からIPアドレスを控える
NAS再起動後、自動的にOMVが起動します。
しばらく待つと、ルーターのDHCP機能によってIPが割り振られるので、このIPアドレスをメモに控えるか、覚えておきます。


次のOMVの管理画面にアクセスするときに必要になるときがあります。
OS(OMV)のインストール方法は以上となります。
OMV(OpenMediaVault)の初期設定

ここからはOSの初期設定をして、NASとして動作するようにしていきます。
BIOSの設定は直接NASから操作していましたが、ここからは同じネットワーク内のPCから遠隔で操作していきます。
- 1PCのブラウザからOMV管理画面にアクセスする
ホスト名がデフォルト設定の場合、「http://www.openmediavault.local」でアクセスできます。
- 2OMVにログインする
初期のログイン情報は、以下のようになっています。
ユーザー:admin
パスワード:openmediavault入力してログインしてください。

もし初期のログイン情報でログインできない場合は、先程控えたIPアドレスで管理画面にアクセスしてください。
例:http://192.168.XXX.XXX ← 控えたIPアドレス

なぜかホスト名でアクセスした場合、ログインできないことがあります。原因は不明。ここでかなりツマずきました…。
- 3日本語表示にする
英語になっている場合は、右上のメニューから「日本語」に変更してください。

表示が日本語に切り替わります。

- 4管理者ログインパスワードを変更する
初期設定のままだと、誰でも入れる状態で大変危険なので変更しておきます。
右上のメニューから「パスワードの変更」を選択し、新しいパスワードを入力して保存してください。

画面下に「パスワードを更新しました」と表示されれば成功です。

- 5パッケージを最新にアップグレードする
左メニューから「システム」→「アップデート管理」→「アップデート」の順番にアクセスします。
ダウンロードボタンを押して、アップグレードを開始してください。

黒い画面が出て文字が羅列されるので、しばらく待ちます。
「END OF LINE」の表示がアップデート完了の合図ですので、閉じるをクリックして黒い画面を閉じてください。

「保留中の構成変更」のチェックボタンをクリックして、設定変更を適用します。

「設定の変更を適用しました」の表示とともに、アップグレードが完了します。

先程のアップグレードで、さらにアップデートが追加されることがあります。再度アップデート画面でチェックしてください。

同じようにアップグレードしてください。

「表示するデータがありません」と表示がでるまで⑩~⑰を繰り返してください。

アップグレードを完全に適用するために、一度再起動します。
右上の から再起動します。
そのままの画面で待っていると、自動的にログイン画面になるので、再度ログインしてください。

- 6RAIDを構築する
まずはHDDを「データ消去」します。
「ストレージ」→「ディスク」からデータを消去したいHDDを選択して、「消しゴムアイコン」を選択します。

「クイック」を選択して、ワイプを進めていきます。

黒い画面が表示されてワイプが開始されます。
「END OF LINE」が表示後、閉じるをクリックして黒い画面を閉じます。
残りのHDDも選択して、同じようにワイプを進めてデータを消去します。

HDDの下準備はこれで完了です。
次に「ファイルシステム」に移動して、 をクリックして、ファイルシステムを選択します。
Btrfs:最近登場した多機能なファイルシステム。スナップショット機能が特に強力です。
ext4:歴史が長く実績が豊富で安定しています。
「新機能」か「安定性」を選ぶか、好みが別れるところです。私はBtrfsを使っていますが、今のところ問題はでていません。

RAIDのモードとRAIDを構築するHDDを選択して、保存してください。

RAIDモードについては、こちらで解説していますので参考にしてください。
黒い画面が表示されてRAIDの構築が開始されます。
「END OF LINE」が表示後、閉じるをクリックして黒い画面を閉じます。作成されたファイルシステムを選択して、保存をクリックします。

保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

「設定の変更を適用しました」の表示とともに、RAID構築が完了します。

- 7共有フォルダアクセス用のユーザーを作成する
左のメニューから「ユーザー」→「ユーザー」にアクセス後、 をクリックしてユーザーを作成していきます。
PCからログインするための「ユーザー名」と「パスワード」を適当に入力します。

保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

- 8共有フォルダを作成する
PCやスマホから見られる場所「共有フォルダ」を作成します。
左のメニューの「共有」から をクリックしてください。
わかりやすい名前を入力後、ファイルシステムを選択してから保存をクリックしてください。
保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

- 9共有フォルダの権限を設定する
作成した共有フォルダに対して、ユーザーの権限を設定します。
共有フォルダを選択後に をクリックします。
「Read/Write(読み込み・書き込み権限)」を選択してから保存をクリックします。
保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。


権限を設定しないとiPhoneから書き込みできないので、注意してください。
- 10sambaを有効にする
左メニューから「サービス」→「SMB/CIFS」→「設定」にアクセスします。
「有効」にチェックをいれて、そのままページ下の保存をクリックします。

保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

- 11共有設定を有効化する
共有フォルダを作成しただけでは、Windowsと共有できません。共有設定を有効化してあげる必要があります。


Time Machineを有効にしないと、iPhoneから書き込みできないので、注意してください。
保存をクリック後、保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

緑の表示がでれば、共有設定完了となります。

OMV側の共有設定は、以上となります。
- 12PC側から共有フォルダを登録する
PC側で共有フォルダをアクセスできるように設定します。
Win + E でマイコンピュータを開いて、「ネットワークドライブの割り当て」を選択します。
参照をしてしばらくすると、「OPENMEDIAVAULT(ホスト名)」が表示されるので、選択します。

OMVで作成した「共有ユーザー名とパスワード」を入力して、共有フォルダを選択してください。

フォルダが表示されたら、共有フォルダの登録完了です。

登録方法はこちらで詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
- 13省エネ設定する
頻繁にNASにアクセスしない方(1日数回)の方は、「APM」とHDDの「スピンダウン」を設定すると、電気代を抑えることができます。
左のメニューから「ストレージ」→「ディスク」に移動して、RAIDを構築しているHDDを選択後、 をクリックします。
「APM管理」と「スピンダウンタイム」を設定後、保存を選択してください。


APM:「64」「127」がオススメ
64:バランスタイプ
127:より省電力
スピンダウンタイム:「20~30分」が一般的RAID構築で複数ある場合、各々選択して同じ設定にしてください。

保存をクリック後、保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

- 14S.M.A.R.T.を設定する

初期設定では「OFF」になっているので、「ON」にすることをオススメします。
左のメニューから「ストレージ」→「S.M.A.R.T.」→「設定」にアクセスします。
「有効」にチェック後、電源モードを「スタンバイ」に変更して保存します。

保存をクリック後、保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。

- 15SSL/TLSを有効にする
左のメニューから「証明書」→「SSL」に移動し、 をクリックします。
国の項目で「日本」を選択し、作成を選択します。
黄色の保留中の構成変更を無視して、次に左のメニューから「システム」→「ワークベンチ」にアクセスします。
「SSL/TLS」を有効後、先程作成したSSL証明書を選択し、「Force SSL/TLS」にチェックを入れて保存をクリックします。

保留中の構成変更のチェックボタンを選択し、適用してください。URLが変更になるので、以下のようなエラー画面になります。

「https://www.openmediavault.local」で再度管理画面にアクセスしてください。
「詳細情報を表示する」から管理画面にアクセスしてログインしてください。

- 16プラグイン「wetty」をインストールする
OMVの拡張プラグイン「omv-extras」をインストールするための下準備として、まずは「WeTTY」をインストールします。

確認にチェックを入れて、インストールを開始します。
「END OF LINE」の表示後、閉じるをクリックして黒い画面を閉じてください。
「Wetty」の設定を有効にします。
左のメニューから「サービス」→「WeTTY」に移動します。「有効」にチェックをいれて、証明書を選択後に保存をクリックします。

適用を押して設定を反映させてください。

- 17拡張プラグイン「OMV-Extras」をインストールする

カスタマイズする方にとって必須のプラグインなので、とりあえず入れておいて損はありません。
WeTTYを起動してSSH接続します。
ユーザーは「root」。OSインストール時に設定したパスワードを入力してください。
以下のコードをコピー&ペーストして、実行してください。
wget -O - https://raw.githubusercontent.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/packages/master/install | bash

約1分くらいでインストールが完了します。
「Press ~ OMV web interface.」と表示がでれば、インストール完了の合図ですので、ターミナルウインドウを閉じてください。
OMV管理画面に戻って、ページをF5で更新してください。
その後、左のメニューから「システム」に移動して「omv-extras」の項目が増えていることを確認してください。
拡張プラグインのインストールは以上となります。

OMVの初期設定はこれで完了となります。
長い間、お疲れさまでした。
まとめ
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
いかがでしたでしょうか。
UGOSから解放されると、Linuxアプリを自由にインストールできるのが楽しいです。
興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてください。
不明な点がございましたら、気軽にお問合せフォームよりご連絡をお願いします。できる限りサポートさせて頂きます。
それではまた会いましょう!






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